今回ご紹介するのは、東山紘久著『プロカウンセラーの夢分析 心の声を聞く技術』(2002年、創元社)です。
著者の東山紘久氏は、2021年3月に逝去されていますが、京都大学名誉教授、2003年~2008年には京都大学副学長を務められ、専門分野は臨床心理学でした。臨床心理士でもあり、本書以外にも『遊戯療法の世界』(創元社)、『教育カウンセリングの実際』(培風館)などを執筆されています。特に、『プロカウンセラーの聞く技術』(創元社)は「心理学書で一番売れている聞き方の本」と言われ、45万部の売り上げを記録したベストセラーとなっています。
本書『プロカウンセラーの夢分析 心の声を聞く技術』は、このベストセラー『プロカウンセラーの聞く技術』の2年後に、人間理解の本第2弾として出版されたものです。本書の「はじめに」では、「前著(=『聞く技術』)は「他人の話」を聞く技術でしたが、今回は「自分の声」を聞く技術です。」と書かれています。本書の特徴は、夢分析を「自分の心の声を聞く技術」と捉え、夢からのメッセージの読み取り方について説明されている点にあります。
本書は2部構成になっています。第1部は夢の性質を知るための夢分析の基礎について書かれています。第2部は、実際によく見る夢のメッセージの読み解きについて紹介されています。第2部だけでなく第1部の中でも具体的な夢がいくつも紹介されています。そして、そのメッセージの読み解き方はまさに「プロカウンセラー」ならでは、という感じです。どの読み解き方もなるほど~と思わず唸りたくなります。
私自身が本書でいいなぁと感じたのは、大まかに3点あります。
1点目は、具体的な夢とその分析手法の具体例が数多く載せられている点です。
2点目は、夢分析の原則として「なぜ自分はこのような夢を見たのか」と「現実と夢の違いはどこか」の2点に注目して夢を吟味する、というシンプルな視点を提示している点です。
そして3点目は、自分の夢のメッセージを読み取ることの重要性を繰り返し述べられている点です。
本書は夢分析について初めて学ぶのにとっておきの1冊だといえるでしょう。
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