今回ご紹介するのは、不二龍彦著『増補改訂 決定版 夢占い大事典』(2015年、学研パブリッシング)です。
著者について
著者の不二龍彦(ふじ・たつひこ)氏は1952年北海道生まれ。宗教・歴史を研究するかたわら、東洋霊学の実践に取り組み、東洋占術の叡智を新しい視点から解釈・統合していく作業を続けています(本書著者紹介より)。本書等の夢占い関連の本だけでなく、天皇家についての本なども出版しています。
この本を選んだ理由
私がこの本を手に取ったのは、夢のシンボルについて辞書的に調べることができる本であり、「基本的な意味」と「解釈のポイント」が端的にまとめられていたからです。
本書の3つの特徴
この本の特徴として、冒頭で以下の3点が挙げられています:
①扱う夢のシンボルを筆者が納得する分量まで増やしたこと
②どの夢も原則として「吉・凶」によって分類
③夢のシンボルの代表的な意味をできるだけ明示
①について:充実したシンボル数
夢占いに興味のある方なら体験されたことがあるかと思いますが、自分が見た夢の内容について、夢事典ですべてが網羅されていることはあまりありません。それは夢に出てくるシンボルが、無限にあるといっていいほど多様だからです。そのため、自分の見た夢の意味を調べるには、それなりに多くのシンボルが掲載されている本が必要となります。本書はそのタイトル通り、夢の事典として調べるのに、完全に満足とはいえないまでも、それなりに満足できる分量が収録されています。
②について:吉凶判定への所感
「どの夢も原則として吉・凶によって分類」という点については、個人的にはなくてもよいと感じました。
ただし、この点については著者が読者のニーズに応えるために記載したとのことです。「気になる夢を見た人は、夢の背景にある心理的な意味や予知夢としての意味そのものより、まず吉凶を知りたがる。そうしたニーズに応えることができるよう」(同書5頁)、ほぼすべての夢について吉凶を示したそうです。
③について:シンボルの意味解説
「夢のシンボルの代表的な意味をできるだけ明示」という点については、非常にありがたく感じました。特に、複数の意味を象徴しているシンボルについて、なぜそうした意味を象徴しているのかについても言及されている点が優れていました。
もう一つの良かった点
本書のもう一つの良かった点は、冒頭で夢解きのポイントについて解説されていることです。自分個人にとっての意味を探ることの大切さを説いていることや、雑夢か予知夢かをチェックするようアドバイスしている点について、私自身の夢に対する理解とほぼ同じだったので、共感できました。
まとめ
本書は夢占い初心者から上級者まで幅広く活用できる実用的な一冊です。豊富なシンボル数と分かりやすい解説により、自分の見た夢を体系的に理解するための優れたガイドブックとして推薦できます。特に、夢のシンボルを辞書的に調べたい方や、夢占いの基本的な考え方を学びたい方にとって、手元に置いておきたい参考書といえるでしょう。
コメント