「鹿の夢」を見たとき、そこにはどんな意味があるのでしょうか。
そもそも睡眠中、特にREM睡眠時に脳は日中の経験を処理し、重要な記憶を強化・定着させる作業をしていると言われています。夢はこのプロセスの副産物である場合もあるため、夢を見たからと言ってすべての夢が何らかのメッセージ性を有している訳ではありません。
けれど私の経験上、朝起きて夢が記憶に残り、何となくその内容が気になるものであった場合、夢が何かを伝えようとしている確率が高いように思います。
このブログにたどり着いたあなたも、鹿の夢を見て、それがどうも気になってしょうがない…という状況なのではないでしょうか。
では、あなたが見た夢にはどんなメッセージが隠されているのでしょうか。それは、鹿が一般的に何を象徴しているか、また、あなた個人が鹿に対してどのようなイメージを持っているか、さらにその夢の具体的な内容がどうだったのかによって変わってきます。
夢の中での鹿の一般的な意味は?
鹿は多様な象徴的意味を持っています。
神の使い・神聖な存在
日本では古くから鹿が神の使いとして崇められています。
例えば奈良の春日大社では、武甕槌命(たけみかづちのみこと)が鹿島神宮から奈良の地に移られる時、白鹿に乗ってこられたという伝承があります。
こうしたことから例えば道に迷っていたら鹿が現れ、ついていったら安全な場所に戻れたというような夢を見たとします。この夢を見た頃、人生の選択で悩んでいたとしたら、「神」(のような存在)が夢主さんを助けようとしていると解釈することができるでしょう。
恋慕、哀愁、秋の訪れの象徴
秋になると鹿は繁殖期を迎え、雄鹿は甲高い声で雌鹿にアピールします。百人一首でも有名な、「奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき」という歌は、秋の奥山で雄鹿が雌鹿を呼ぶ姿に、離れた女性を想う男心を重ねて詠んだと言われています。こうしたところから、鹿は「恋慕、哀愁、秋の訪れ」などを象徴する側面もあります。
例えば単身赴任中の人が、鹿が鳴いている夢を見た場合、普段は仕事で忙しくて家族のことを思い出さなかったとしても、家族が恋しいということを示唆していると解釈できます。
勝利・勇気
生涯で57回の戦闘に参加し傷ひとつ負わなかった、徳川家臣最強の武将といわれる本多忠勝は、鹿の角を鎧兜に付けていました。本多忠勝以外にも鹿の角をつけた兜をかぶっていた戦国武将は何人もいました。
鹿の俊敏さ、角の力強さ、自ら進んでいく姿勢が勝利や勇気を導くと考えられていたのでしょう。
こうしたことから、例えば目の前で鹿が高くジャンプし、断崖を軽々と越えていく夢を見たとしましょう。夢主さんが夢を見た頃、留学するかどうかを悩んでいたとしたら、勇気を出して留学するよう、夢が教えてくれているのかもしれません。
財運・豊かさ
中国では鹿が「禄(=昔の官吏の俸給)」という言葉と発音が同じ (lù)であることから、財運や豊かさを象徴するとされています。
例えば家の中に鹿が入ってくる夢を見た場合、臨時収入の可能性があるのかもしれません。
復活・再生
鹿の角は毎年生え変わることから、鹿は再生や復活の象徴ともされています。
例えば資格試験に落ちて消沈しているときに、鹿が自分の方をじっと見て、走っていく夢を見たとします。この場合、夢主さんに対してもう一度試験を受けるよう促していると解釈することができるでしょう。
無防備・被害者的立場・弱さ
鹿は狩猟の対象になりやすいことから、無防備・被害者的立場・弱さを象徴することもあります。
したがって、例えば安心して草を食べている鹿の夢を見た場合、あなた自身が現実の世界で無防備でいることや、被害者的な立場にあることを警告しているかもしれません。
子孫繫栄
鹿は繁殖力が強いことから、「子孫繁栄」としての象徴もあります。
そこから例えば妊活をしている人が鹿の夢を見た場合、もしかしたら嬉しいお知らせが来るかもしれません。
夢の中での鹿の個別的な意味は?
ただし、夢に出てきたものは、一般的な意味の他、夢を見た人自身のイメージも重要になります。
あなたは、鹿に対してどんなイメージを持っていますか?
例えば奈良公園で鹿に噛まれた経験がある人にとっては、鹿=噛む=危害を与えられるというイメージが出来上がっている可能性があります。そこで、例えば鹿が歯を見せてニヤッと笑う夢を見たとしたら、笑顔で近づいてくる人に悪意があることを無意識がキャッチしているのかもしれません。夢の中の鹿が、現実の世界で出会っている誰かと雰囲気が似ているとしたら、その人のことを無意識で警戒しているのかもしれません。
また、例えば「バンビ」の映画が大好きで、最近母親を亡くしたという状況の人がいたとして、バンビが夢主さんの方をじっと見つめていたという内容の夢を見たとしたら、バンビと同様に母親の死から立ち直ることができることを示唆していると解釈することができます。
このように、鹿の夢を見た場合、一般的な意味から夢からのメッセージを推測することも有用ですが、まずはあなた自身が持っている鹿のイメージを明らかにすることをお勧めします。その方があなた自身の夢からのメッセージをより正確に把握できる可能性が高まるからです。
鹿の特徴別の解釈例
鹿の親子の夢
夢の中では親子の動物は「愛情」「保護」「成長」などを意味します。そして、動物の種類によって、「愛情」や「成長」の質が変化すると解釈されています。
鹿に関しては、その攻撃性が低く、自然のリズムに寄り添う性質から、「静かで穏やかな愛情」「静かな見守り」・「調和的な成長」を象徴するとされています。
したがって、例えば子育てで悩んでいる人が鹿の親子の夢を見たとします。夢主さんが普段お子さんにあれこれ手を貸してあげていたとすると、「もう少し遠くから見守るくらいでいいよ」というメッセージを夢が送っているのかもしれません。
ただ、例えば普段鹿肉をジビエ料理として提供している人が、鹿の親子の夢を見たとしたら、「命を奪い、それを料理として提供し、誰かの命につなげる」というサイクルのなかにいることを認識するよう夢が促している可能性もあります。
鹿の赤ちゃんの夢
「赤ちゃん」の夢は、一般的に「新しい始まり」「可能性」「純粋さ」「希望」「守るべきもの」「未熟」といった意味を持っています。
そして鹿には先に挙げた「神の使い・神聖な存在」「恋慕、秋の訪れ」「勝利、勇気」「子孫繁栄」「弱さ」などの意味を持っています。
そこで、鹿の赤ちゃんが夢に出てきた場合、これらのキーワードが合わさった事柄を暗示しているといえます。
例えばあなたが仕事やバイトを始めたばかりで慣れていなかったとします。そのような日常生活を送っているなかで鹿の赤ちゃんと出会う夢を見たとしたら、まだ技術的には未熟だけれども、今後成長してスキルアップできることを夢が教えてくれている可能性があります。
ただ、例えばあなたが奈良公園に行ったときに鹿の赤ちゃんを見て喜んでいたら、母鹿に攻撃された経験があったとしたら、鹿の赤ちゃんの夢は誰かから不意に攻撃されることを警告しているのかもしれません。
怪我をした鹿の夢
怪我をした鹿の夢は、鹿の象徴的意味に「傷つきや弱さ」という要素が加わると解することができます。
例えば友達と喧嘩したときにこの夢を見た場合、友達に対する優しさが裏目に出ていることを示唆しているかもしれません。
あるいは精神的に不安定で、いつもならしないような行動をしてしまった場合、あなたの神聖さが傷ついていると警告している可能性があります。
たくさんの鹿の夢
たくさんの鹿が夢に出てきた場合、あなたがその様子をポジティブに感じていたとしたら、鹿に対するあなたのイメージが豊かであることを示唆します。
例えば、転職して間もないときにこの夢を見たとしたら、新しい職場が穏やかな人間関係に恵まれていることを教えてくれている可能性があります。
逆に、夢の中のたくさんの鹿の様子をネガティブに感じていたとしたら、鹿に対するあなたのイメージがマイナスに動くことを示唆します。
例えば、対人支援職に就いている人がこの夢を見たとしたら、「守らなければならない」気持ちが強すぎて疲弊している可能性があります。
大きい鹿の夢
大きい鹿は物理的な迫力から、夢の中での象徴性も強まります。
例えば、試合が迫っているときに大きい鹿に乗る夢を見たら、優勝する可能性があることを示唆しているかもしれません。
また、神社の中で大きな白い鹿がいて、自分の方を優しい表情で見ている夢を見たとしたら、「見守ってくれる存在」があることを示唆していると解釈できます。
鹿の死体・死骸の夢
死体(死骸)の夢は、過去の問題や感情を整理すべき時期、あるいは何かが終わるときに見ることがあります。
したがって、例えば仕事で部下ができたときにこの夢を見たとすると、従順でいるだけの時期は終わり、自分から部下を指導していかなければならないことを意識していることを示しているといえます。
鹿の動作別解釈例
鹿が家に入ってくる夢
「家」は、あなたの心や内なる世界を意味することが多いです。
したがって、鹿が家に入ってくる夢は、あなたが鹿に対して持っているイメージがあなたの中に入ってくると解釈することができます。
例えば、あなたが「鹿=神の使い」というイメージを抱いており、白い鹿が家の中に入ってきて、仏壇に供えてあった供物を食べてしまった夢を見たとしましょう。
一つの解釈として、神(または何か見えざるもの)が近くにいて、あなたを守ってくれているから安心するようにというメッセージである可能性があります。
鹿が死ぬ夢(鹿を殺す夢)
例えばあなたが誰かから臆病な点を指摘されていたとします。そのような状況で鹿が死んだり、鹿を殺す夢を見たとしたら、それはあなたが自分の中にある臆病な面を克服したいという気持ちの表れであると解釈することができます。
また、恋人と会えない日々が続いているときにこの夢を見たとしたら、恋人への恋慕の気持ちが薄れていることを暗示しているのかもしれません。
鹿に襲われる夢(鹿に追いかけられる夢)
鹿に襲われる夢は、抑えてきた感情が爆発しそうになっていることを示唆している場合があります。「善良でなければならない」「相手よりも下の立場でいることを甘んじて受けなければならない」という自分自身への抑制が限界に近付いているのかもしれません。
他にも例えばあなたが職場で新人教育に携わっていたとします。ある新人さんにきつく指導した日の翌朝に鹿に襲われる夢を見たとしたら、その新人さんから「逆襲」されるかもしれないという不安が夢に出てきたと解釈することができます。
鹿がなつく夢
鹿はもともと臆病で警戒心の強い動物です。その鹿がなつくという行為は、安心感・信頼感・心の通じ合いを象徴します。
したがって、例えば近所に少し近づきがたい人が住んでいて、その人との距離感に悩んでいたとしたら、この夢はその人が実はあなたと仲良くなりたいと思っていることを教えてくれているかもしれません。
まとめ
鹿の夢を見た場合、一般的には「神の使い・神聖な存在」「恋慕・哀愁・秋の訪れ」「勝利・勇気」「子孫繁栄」「弱さ・無防備さ・被害者的な立場」等様々な象徴的意味があります。さらに夢を見た人の個人的なイメージによっても夢の意味は異なってきます。
この記事があなたの見た夢からのメッセージを的確に受け取るのに少しでもお役に立てれば幸いです。
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